歯科衛生士が歯科医院での業務中に怪我や病気をし、療養(補償)給付を1年6カ月受給しても完治しなかった場合に受けとる事が出来る年金です。
怪我や病気の状態を3段階に分けてた「傷病等級」という基準に当てはめて、給付基礎日額の日数分の年金が支給されます。
歯科医院ごとの求人情報
支給される年金の内訳は3種類
考え方としては、休業が長く続く場合に1日あたりの補償を年単位の補償に切り替えて一時金などで生活を整えつつボーナスも含めた賃金を一定の割合で国民年金のように年に6回、偶数月に給付する制度です。
休業補償よりも手厚い分、3年以上経過すると雇用主である歯科医院は歯科衛生士を解雇できるようになります。
傷病補償年金
- 第1級
- 給付基礎日額の313日分
- 第2級
- 給付基礎日額の277日分
- 第3級
- 給付基礎日額の245日分
※給付基礎日額
歯科衛生士が業務中に怪我や病気をした日から3カ月遡った賃金(給料)を総日数(休日も含む)で割った金額です。
ボーナスや臨時の手当ては含みません。
傷病特別支給金の額
- 第1級
- 114万円
- 第2級
- 107万円
- 第3級
- 100万円
※一時金として給付されますので全額を一度に受給する事が出来ます。あくまでも一時金なのでそれ以降は給付されません。
傷病特別年金の額
- 第1級
- 算定基礎日額313日分
- 第2級
- 算定基礎日額277日分
- 第3級
- 算定基礎日額245日分
※算定基礎日額
歯科衛生士が業務中に怪我や病気をした日から一年間をさかのぼって、雇い主である歯科医院から得ていた特別給与(ボーナス)の額を365で割った金額です。
傷病補償年金は毎月の給与に基づく年金ですが傷病特別年金は3カ月以上の間隔(年に2回から3回に
傷病等級-障害の状態
第1級
- 両眼が失明しているもの
- 咀嚼(そしゃく:噛んで食べる事)及び言語の機能を廃しているもの
- 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に介護を要するもの
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に介護を要するもの
- 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
- 両上肢の用を全廃しているもの
- 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
- 両下肢の用を全廃しているもの
- 前各号に掲げるものと同程度以上の障害の状態にあるもの
第2級
- 両眼の視力が0.02以下になっているもの
- 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、随時介護を要するもの
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、随時介護を要するもの
- 両上肢を手関節以上で失ったもの
- 両下肢を足関節以上で失ったもの
- 前各号に掲げるものと同程度以上の障害の状態にあるもの
第3級
- 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になっているもの
- 咀嚼(そしゃく:噛んで食べる事)又は言語の機能を廃しているもの
- 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの
- 両手の手指の全部を失ったもの
- 第3号及び第4号に掲げるもののほか、常に労務に服することができないものその他前各号に掲げるものと同程度以上の障害状態にあるもの
療養開始3年後に傷病(補償)年金を受け取ると解雇出来るようになる
- 療養開始後3年を経過した日に傷病補償年金を受けている場合
- 療養開始後3年を経過した日その後に傷病補償年金を受けることとなった場合
このどちらかを満たした場合、歯科医院の院長や医療法人の理事長などの雇用主は法的な「解除制限」が解除されて歯科衛生士を解雇できるようになります。
これは療養(補償)給付で治療を行い、それでも治らない場合に傷病年金という形でその後の補償まで支払ったという事にみなされるからです。(打切補償)
休業(補償)給付と同時に給付されない
治療をする為の療養(補償)給付は給付されますが、休業(補償)給付と傷病(補償)年金は同時に支給されないので注意してください。
申請手続き
所轄の労働基準監督署長の職権によって傷病(補償)年金の支給・不支給が決定されるので請求手続きそのものはありません。
しかし療養開始1年6カ月を経過して怪我や病気が治らない時はその1カ月以内に「傷病の状態等に関する届け出」を所轄の労働基準監督署長に提出する必要があります。