歯科医院を退職した時(失業)した時に支払われる保険制度です。歯科衛生士の新卒終身雇用の率は非常に低いので誰もが利用する可能性のある、もしくは高い保険制度です。
雇用保険は、失業時にそのまま次の仕事に就く事が出来なかったり生活に困って社会から離れてしまわないためのいわばセーフティネットです。転職率の高い歯科業界にうってつけの保険制度、それが雇用保険制度です。
雇用保険は厚生労働省が管理運用(直轄)しています。したがって雇用者(この場合は歯科医院の経営者である院長、法人であれば理事長)は強制的にこの雇用保険に加入しなければなりません。歯科医院の求人情報にこの雇用保険の記載が無い場合は要注意です。
歯科医院ごとの求人情報
需給の流れ
1:退職前
「雇用保険被保険者証」という名前や「被保険者番号」が書いてある保険者である事の証明書の確認を行います。
雇用保険に加入した時に(その歯科医院に就職した時)、公共職業安定所(ハローワーク)から歯科医院に交付されるので歯科医院で保管している場合が多いです。
歯科医院によっては退職後のフォローがいい加減なところも多く、退職後にいつまで待っても「雇用保険被保険者証」を送付してくれないところも多いので退職前に確認し、最終出勤日までに入手しましょう。
2:退職後
もし「雇用保険被保険者証」を退職前に入手できずに送付もなかなかしてもらえない、もしくは歯科医院が紛失してしまった場合には公共職業安定所(ハローワーク)に行って再交付の申請を行う事が出来ます。公共職業安定所(ハローワーク)に再交付の申請書があるので必要事項を記入して再交付をしてもらいましょう。
歯科医院から一般的に「離職票(正しくは 雇用保険被保険者離職票1・2)」を受け取ってください。
この離職票も早く入手しないと、雇用保険の申請が出来ないので、退職前後に歯科医院へ確認を怠らないようにしましょう。
この離職票には「歯科医院側の都合(事業主側の都合)」か「労働者側の都合(自分の都合)」を記載する箇所があります。
歯科医院側の都合で失業する場合と自己都合で失業する場合で支給の時期などが変わります。
ですので、リストラや廃業、パワハラやセクハラなどで歯科医院に在籍出来なくなった場合など「歯科医院側の都合」を記載してもらえるようにあらかじめ交渉しましょう。
ただし、歯科医院側は自らの都合での退職という形にはしたくないので応じてもらえない事が多々あります(リストラや廃業などでは応じてもらえる事もよくあります。
3:公共職業安定所(ハローワーク)で 「求職の申込み」を行う
雇用保険は、「失業状態を早く脱して安定した労働と生活を営む」事を目的としているので「求職」する事が需給に必要となります。
「失業=手当」ではなく「失業→早く新しい仕事に就く為の職業斡旋と金銭的な支援(失業手当)」ですので、公共職業安定所(ハローワーク)に行って「仕事はしたくないけれど失業したので失業手当が欲しい」と言っても支給されませんので注意してください。
「求職の申込み」には以下のものを持参します。
- 雇用保険被保険者離職票
- 雇用保険被保険者証
- 本人を確認出来る身分証明書(住民票、運転免許証、国民健康保険者証などの身分証明書など)
- 写真(縦3cm×横2.5cmの正面上半身のもの)2枚
- 印鑑(認印で可)
- 本人名義の普通預金通帳(郵便局は除く)
「求職表」という書類に必要事項を記載して窓口で簡単な面接があります。
この面接で、退職に経緯などを確認し、受給資格がある事を確認する事で受給資格の決定となります。
※この時に「雇用保険受給資格者のしおり」を渡されます。
4: 雇用保険受給説明会に参加する
受給資格が決定してから最低7日間は失業した状態である事が必要です。
その間は、失業手当も支給されません。
そしてその後、公共職業安定所(ハローワーク)から雇用保険についての説明会が2時間程度行われます。
この時に、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取ります。
これは次の職場、新たな歯科医院へ就職するまでの間、定められた期間「失業手当」として一定の金額を受け取る為に必要な書類です。
再就職が難しい状況だと判断されれば「求職活動計画書」も合わせて交付されます。
※この日に一回目の「失業認定日」の指定があります。
「失業認定日」とは一カ月に一回「失業している状態である事」を確認して、認定されれば失業手当の支給を受ける為の認定日です。
毎月、この日に失業を証明すれば失業中と認定されて失業手当を支給してもらえるので一般的に「失業保険は手当が支給される」という表現で自動的に手当てをもらえるかのように思う人もいるようですが、毎月申請をする必要があります。
5:一回目の「失業認定日」に公共職業安定所(ハローワーク)で申請する
「失業認定日」に公共職業安定所(ハローワーク)に行くと、どのくらい求職活動をしたかなどの報告をします。
例えば、歯科医院へ求職の問い合わせを行ったり面接に行くなど具体的な求職活動が必要になります。
6:失業手当の支給
失業の認定日から5日~7日に失業手当が指定の口座に振り込まれます。
自己都合で退職した場合は給付の制限があるため、3ヶ月後の振り込みとなります。(歯科医院都合の場合は当月から振り込まれます。)
7:1ヶ月後、二回目の「失業認定日」に公共職業安定所(ハローワーク)で申請する
失業手当給付の終了まで4週間に一度、必ず指定された失業認定日に公共職業安定所(ハローワーク)行かなくてはいけません。
そうでないと、失業手当が振り込まれないからです。
※自己都合で退職した人は、二回目の失業認定日は3ヶ月後になります。